紅血の証

紅血の証

★★★★★

セット効果

2

2セット

攻撃力+18%。

4

4セット

装備者が星拡散反応を起こした後の10秒間、会心率+16%、星拡散反応ダメージ+40%。

日本語

秘境

構成品

献身に感謝を

献身に感謝を

生の花

鮮やかな赤い花飾り。炎のごとき栄光の象徴。

物語

ギヨタン嬢はスネージナヤ・グラードの中央広場に腰を下ろし、地元の人間と同じようにボルシチをすすり、酒の入った熱いコーヒーを飲んでいた。この寒さではコーヒーも運ばれてくるとすぐに冷めてしまうが、それを飲むと喉から胃の底まで熱く焼けるようだった。聡明なギヨタン嬢は、尖った耳の使用人が炎水を二倍足すことを勧めてきた理由を瞬時に理解した。 フォンテーヌからスネージナヤまで来るために、彼女はずいぶん苦労した。ほとんどの時間を雪原で費やし、想定以上に気温は低かったが、道はそれほど険しくなく、時間を奪われたのはもっぱらこの奇妙な土地そのものだった。10メートル以上もある木の上から半裸で降り積もった雪の山へと飛び込む者を見たかと思えば、凍った湖の上で誰が一番早く氷を踏み割って水に落ちるか競い合う子供たちも目にした。不運な者が勝者となるため、水に落ちた者ほど喜んでいる。それらはアランが語ってくれた、勇者が悪竜と戦う話よりも理解しがたく、何の意味があるのか見出せないまま、彼女の心に奇妙な新鮮さを残した。 数ヶ月前、彼女はティーカップを手にフォンテーヌ廷のベンチに腰かけ、霞がかった空気の向こうで行われている建物の改修を眺めながら、施工チームの雑な仕事に文句をつけながら時間を潰していた。現場監督は腹を立てるどころか、むしろ彼女に感謝した。それが彼女に好印象を与えたため、相手が勝手に話しかけてくるのを黙認することにした。何とか協会の支部長を名乗るその人物の話はいまいち面白みに欠け、聞いているとどうにも眠気を誘う。本来なら休息にうってつけの機会だったが、あいにくアランが去ってからというもの、彼女にはぼんやりしたり居眠りしたりする時間が多すぎて、寝ぼけ眼のまま研究以外の雑事をこなす習慣がついてしまっていた。 たとえば、パレ・メルモニアはアラン・ギヨタン公爵のために巨額の弔慰金を支給してくれたが、彼女は守銭奴のようにモラを抱え込んだまま朽ち果てるつもりはなかった。そもそも彼女は老いて死ぬことはなく、数百年後に地下室に呪われたマリオネットが出る、などという怪談話の題材になりたくもなかった。近くの銀行が優れた資産運用のプランを提供していると聞いたことはあったが、外国からやってきた銀行なんて、そもそもそれ自体が罠のように思えた。傍らのこの支部長が、その気前の良い弔慰金の支給をどんなに称賛しようとも、聡明なギヨタン嬢を納得させることはできなかった。 それに、この世にブラックコーヒーと同じくらい苦いパンがあって、パンのような味がする飲み物があるとは一体どういうことなのか。アランは彼女に人間と変わらない味覚と温感機能を備えてくれたが、その機能が低温下でも安定して長時間動作するかどうかは、どうやって検証すればいいのだろう? やけに馴れ馴れしい支部長は異国での冒険にまつわる逸話を語り続けては、時折彼女を褒め称えた。あなたは見聞の広い冒険者にとってもめったに会えない有識者だ、そんな人がここで建築構造の欠陥を指摘するだけに留まっているのは、宝の持ち腐れだと。 そうしてギヨタン嬢は空のティーカップを置き、パンの味がする飲み物を試しに行くことにした。 ある雪と氷に覆われたレストランのテーブルで、彼女はファデュイの統括官と知り合った。 そのとき彼女は、歴史ある庭園とはいったいどれほど古いのかを考えながら、プロンニアよりも不器用な異怪の獣が、なみなみと注がれたグラスを載せたトレイを水平に保とうと悪戦苦闘しているのを眺めていた。そんな危うい均衡の傍らで、仮面の男は彼女に世界を救おうとする理想を語った。 不条理な運命こそ打ち破るべき枷であり、旧世界を壊すことは、それを救うことに等しいと彼は言った。 「運命」も「救世」も聞いたことのある話題だったが、今となっては少しわざとらしく感じられた。「ああ、アラン…」彼女は思う。「アナタはワタシに自由で傑出した魂を与えてくれたけれど、ワタシがどう行動するのかまで考えていたの?」しかしすぐに、それはそもそもアランが考えるべきことではなく、彼女自身の人生の課題なのだと思い直した。 聖剣を手にした勇者も、是非はどうあれ倒されるべきだった悪竜もすべて過去の物語だというのに、この世界はまだ救われるのを待っている。 やがて彼女は「傀儡」、あるいはサンドローネと呼ばれるようになり、それに相応しい責任を負うことになった。暇を見つけてはあの慣れ親しんだ場所に腰を下ろし、冒険者協会の窓口をぼんやりと遠くから眺めた。キャサリンという名の受付係が優雅に立ち、冷たい吹雪にも決して屈しないかのように見えた。 誰かが近くの掲示板に、劇場の公演プログラムと一緒にファデュイの徴兵ポスターを貼っている。そのポスターには鮮やかな赤い花が印刷されており、舞台女優の衣装よりも艶やかなそれは、貢献者に授けられることが約束されたメダルだった。冒険者協会がスネージナヤの深部で持つ意味を知って以来、サンドローネはこういった光景を見ても驚かなくなっていた。ファデュイは「理想」と名付けた巨獣を育てており、人材と情報はその獣に不可欠な糧なのだ。 ふとした瞬間、彼女は自分自身もまた、その一部であるように感じた。

功績に栄光を

功績に栄光を

死の羽

鮮やかな赤い羽根ペン。最も若き血に贈られる。

物語

理論上、天より神権を授かったツァーリ・ベールイを除き、他のフェイには人間を慈しむ義務はない。しかし、それでも一部のフェイが人間の暮らしに憧れることがあるのは明らかだった。凍土の上を自由に歩き回れても何の楽しみも感じず、コートに身を包み、苦労して火を起こす暮らしの方が趣深いと思う者がいるように。 事実、ミルコは自ら人間の世界に足を踏み入れた一人だ。しかし彼は決して人間に対する愛や憧れを口にすることはなく、あくまで先を見越した選択だと言うだけであった。 彼はよく物事を観察しては、いくつかの結論を導き出す。例えば、集団の構成を個体まで突き詰めると非常に複雑になるものだが、それはおおむね三つに分類できる。最も若いもの、最も老いたもの、そしてそれらの中間に位置する、救いようのない連中だ。 フェイであれ、別の生き物であれ、若いものは適応力が高く、環境に影響を受けながらも、それを自我と意味を見出したのだと言い繕うものである。彼らは熱心に軍に入ったり研究に身を捧げたりして、実際の行動でもって女皇の威光に彩りを添えている。 そしてひとたびある年齢を超えると、流れに身を任せるような、また別の種類の曖昧な態度が現れるようになる。例えば女皇が即位した頃、最初に届いた祝辞のひとつは人跡まれな北の果てから送られたものだった。署名が確かに王公の列に名を連ねるものでなければ、送り主が本当に存命かどうか疑わしく思われたことだろう。 そして中間に位置する者たちは、彼らの偉大なる陛下が災厄によって亡くなったという事実を受け入れたくなかったのか、あるいは王権がもはや同族の手にはないという現実を認めたくなかったのか、その怒りはしばらくの間激しく燃え上がった。同胞を嘲笑うことは卑劣と非難されるのが常だが、ミルコはどうしても堪えられなかった。とはいえ、別に認め難いことでもない。政治家への評価において、卑劣というのはごく穏やかな部類に入るのだから。さらに先見の明と組み合わされば、それはむしろ「時勢を読む」という強みに変わるのだ。 ミルコはしばし考えた末、ファデュイへの参加を申請することに決めた。 女皇が彼の意図を見抜けなかったなら、ミルコはむしろ失望していただろう。あの魔女を人間の範疇に分類しておくとすれば、「愚者」の名を冠するこの組織はまだフェイが加わるための枠を定めてはいない。ミルコは自分の動機をフェイ全体の権利のためなどと美化するつもりはなかった。ただ、新たな世界がもうすぐ誕生するのであれば、そこに自分の居場所が残されていないのは御免だ。そう思っただけのことである。 彼の応募に対するファデュイの返答は実に簡潔なものだった。「ミルコ・ラドヴィドヴィチ・ヴェレシェク殿」、彼は自分の名前を目で追った。「市長のもとへ報告されたし」。 市長のジョアンナ・イヴァノヴナは皇都評議会の議長も兼任していたため、様々な人がその点について異なる意図を憶測した。よそ者から見れば、一人のフェイを人間の門下として屈服させることは、女皇陛下の旧時代に向けた一つの警告のように捉えられた。一方で「雄鶏」がその屈辱に甘んじてまでファデュイの座を得ようとしたことは、欲に目が眩んでいるのか、それとも不遇を糧にして飛躍を望んでいるのか、断言できない部分であった。 深謀遠慮な政治家なら、もちろんそのような判断を軽々しく否定したりはしない。私欲があることは確かで、その証拠に彼はイヴァノヴナ議長から厚い信頼を寄せられており、後継者として期待されている。辛い思いも少なからず経験してきた。イヴァノヴナは陰謀論的な世界観を巧みに描き、自らの痕跡を消し去ることに長けた人物であり、プルチネッラはあるいは短い足のせいもあってか、当初は彼女のペースについていくのに苦労した。 こうして総合的に見れば、プルチネッラは間違いなく人間から様々なことを学んでいた。忠誠と離間の計。戦略を練ることと、そのフリをすること。不機嫌になることと、それを隠す方法などだ。結果、彼は内心にパンタローネの脚を長槍で突きたいという思いを秘めつつ、平然と評議会を取り仕切るという芸当ができるようになった。冒険者協会での遊説では劣勢に立たされたが、彼の仕事の大半はスネージナヤ国内に限られているのだから仕方がないといえる。待っていろ、と彼は憤然と思った。名目上の会長があの笑顔を絶やさぬ狂人であろうとも、金と権力をすべて奴の懐に流れ込ませるつもりはない。 それに、人間がこの小さき者の習慣に影響を与えているのも確かだった。イヴァノヴナの死後、プルチネッラは自分の後継者について考えずにはいられなくなった。これは少々馬鹿げた話で、十分に用心さえすれば、彼は永遠に近い年月を生きられるはずなのだ。いつの日か、彼は奇妙奇天烈な同僚たちをあしらうことに嫌気が差すかもしれない。だが女皇がかつて彼らに語った理想は、彼の心の中のより偉大なる先見性と合致している。少なくとも、理想が実現するその日までは持ちこたえなければならないだろう。 もちろん、後継者について考えるのをやめたからといって、ずっと後になってある少年に目が留まることには何ら影響はなかった。アヤックスは明らかに政治家としての資質を欠いていた。そもそも彼にはすでに師と仰ぐ人物がおり、誰かの弟子になるつもりはなかった。そして仮に彼を導く者を選ぶとすれば、「隊長」の方がはるかに適任であることは明白だった。 かつてイヴァノヴナが彼の変化を見守ったように、プルチネッラもまた「公子」の成長を見守った。ある朝の会議が終わった後、彼はナタへ旅立とうとしていたカピターノにそれとなくこの話を持ちかけた。そしてその翌日、遠くからタルタリヤの満面の笑みが見えた。 「見てくれ!さっき『隊長』に挨拶に行ったら、これをもらったんだ…」 プルチネッラは即座に箱の中の物を認識した。それは、ファデュイが最初に対外的な徴兵を行っていた頃、兵士たちへ支給されていた羽根ペンだった。数百年を経てもなお色褪せておらず、ずっと大事に保管されてきたことは明らかだった。 プルチネッラは慈愛に満ちた表情でうなずいた。絶えず受け継がれていく未来と同じく、これもまた彼の先見性の一部なのだ。

歳月の贈呈を

歳月の贈呈を

時の砂

鮮やかな赤い懐中時計。とある会話の終わりの時を刻んでいる。

物語

徴兵を知らせるポスターがスネージナヤ各地の掲示板に貼り出され始めるのとほぼ同時に、プルチネッラは静かで快適ないくつかの空き部屋を、カウンセリングルームとして用意した。 カウンセリングルームというのは内部での呼び方で、外部では「面談室」や「小部屋」と呼ばれていた。まるでカウンセリングを必要とする状態が、隠しておくべき持病であるかのように。他にも「黒部屋」という呼び方もあったが、誰が言い出したのかは不明で、カピターノはこれを断固として否定していた。 当初、ファデュイは専門的なカウンセラーを育成し、様々な問題に対応させていた。しかし実際に運用してみると、多くの兵士は知らない相手に心を開くことを望まず、信頼できる人物に助けを求め、誰にも邪魔されない環境の中で秘密の話を打ち明けることを好んだ。あるいは、ただひたすら泣き崩れるだけのこともあった。 そこで親切なプルチネッラは権限を緩和し、予約さえできれば誰でも約束した仲間と中で数時間話し込めるようにした。当然、執行官たちもこの権利を有する。カピターノはかつて、ローエファルタがパウダーパフで顔を叩きながら中から出てきたところに出くわしたことがある。その後ろには、ハンドバッグを高く掲げて付き従うプルチネッラがいた。彼に女性のプライバシーを詮索するつもりはなかったし、市長もまた秘密を守ることに長けた人物である。二人はその件について二度と触れることはなかった。 後日再び、似た場面に出くわすことがあった。ある晩、その部屋からドットーレとパンタローネが笑いながら出てくるところを見かけたのだ。案の定、しばらくするとプルチネッラが二人をひどく叱りつけ(「二人で話がしたいならどこでもできるだろうに、わざわざ公共の部屋を使うとはどういうことじゃ!」)、取り締まりを行うと宣言した(「担当者には、今後あの二人の利用申請があれば断固として却下するよう伝えておく!」)。しかし残念なことに、その二人は二度とカウンセリングルームの予約を申請することはなかったため、プルチネッラが準備していた一撃は空振りに終わり、またしても悶々とした怒りを募らせるばかりだった。 カピターノは彼にどのような言葉をかければいいのか分からなかった。のちに上等な酒を贈ってみたが、結局飲んだかどうかも尋ねなかった。 同僚たちの私生活において、カピターノはまるで透明人間のような存在だった。彼がいようといまいと、過激な話題にならない限りは他の者たちの雑談に何の影響もない。「隊長」が他者に密告することは絶対にない、それが共通認識として定着していた。時折、彼は自分が移動式の面談室のようなものだと思うことがあった。あらゆる秘密の話を、静かに記録し続けるのだ。 彼は、それを煩わしいとは思わなかった。長い訓練を経た彼の心臓は、時として同僚たちよりもよほど騒がしいのだから。カウンセリングルームに座っていると、まるで部屋の中に別の小部屋が何度も重なっていき…気がつけば自分の魂がその中央に押し込まれ、上下、前後左右どこにも逃げ場がなくなるかのように感じた。 面談室はさほど広くなく、厚いカーテンが引かれていた。これはプルチネッラが過度に倹約家だからではなく、人は狭くて暖かい環境に置かれると、信頼関係を築きやすくなるという説があるからだ。カピターノはその理論の出どころを知らなかったが、少し考えてから仮面を外し、そっと傍らに置いた。 当時、彼の顔には癒えない傷跡が多少ある程度で、薄暗い光の中ではそこまで戦慄するほどではなかった。彼を談話に招いたのは、かつて彼が訓練を施した教え子の一人で、訓練を修了したのちに特務分隊へ加わった者だった。カピターノはその分隊に起きた出来事を知っていたので、話の内容についてある程度予測していた。彼らは辺境の地での動乱を鎮めるために派遣されたのだが、本来は比較的簡単な任務のはずだった。ところが帰還した生存者たちは、みな魂が抜けたような有様だった。最終的に、やむを得ずドットーレを呼び寄せることでようやく問題が解決された。 その時カピターノはすぐそばにいて、責任感から尋ねた。「彼らにどんな薬を使ったんだ?」 「これのことか?」ドットーレはその場で未開封のガラス瓶を取り出し、気前よく彼に渡した。「強力な鎮静剤だ。」 それは今も彼のポケットの中にある。今日は使わずに済むことを願う。向かいの兵士はひどく疲れているように見え、残った片手で懐中時計を開いては閉じる動作を繰り返していた。まるで時間の流れを確かめるかのように。 「多くの人が信じていないのは分かっています。でも報告書に書いたことはすべて事実なんです。」兵士は苦笑しながら言った。「あそこの人間はそもそも女皇陛下のことを知らなくて、今もツァーリ・ベールイの時代だと思っているんです。最初は俺たちのことをフェイの手下だとか、四つ目の怪物だとか罵って水をぶっかけてきて、俺たちが背いた罪と偽りの信仰を清めてやるなんて言い出して…」 「そう、最初からめちゃくちゃだったんです!向こうはまともな武器も持ってなくて、俺の隣にいたやつは思わず笑い出したくらいですよ。それで分隊長がゆっくり近づいて、説明しようとしたんです。今は人間の時代で、もう争う必要はないと…」 「そうしたら…そうしたら…」 カピターノは報告書に目を通した。それは生存者が意識を取り戻した後に残した記録であり、ドットーレが彼らの身体検査を行った後にいくつか補足説明を加えたものだった。現地の人々は長期にわたり同類を食したことで、ウイルス性の集団ヒステリーに罹っていた——彼はそうまとめている。鎮圧に向かった兵士たちも汚染された水源に触れたことで最終的に同じような症状を発したが、症状は軽度で治療の余地があった。その後、ドットーレは新たな治療プランを提案した。手を後ろで組みながら薬効を観察するその姿は、まるで本物の医者のようだった。 「非常に理にかなっているな。」眼鏡の位置を正し目を細める「医者」のその仕草は、どこか別の誰かを彷彿とさせた。これほど閉鎖的で劣悪な環境で暮らしていれば、他に食べるものがないのも当然だ。カピターノはそれを聞いてため息をつく。冷淡でありながら正しいその言葉に反論する気力を使いたくなかった。いったい誰の喉が噛みちぎられ、誰の腕が誰の腹に収まったのか——それは「理にかなっている」の一言で片づけられる問題なのだろうか? 「もういいです。」兵士は突然言葉を断ち切り、カピターノの回想も遮った。「カウンセラーが、当時起こったことを全部平気で話せるようになれば回復した証拠だと言っていましたが、そんなのデタラメですよ!…申し訳ございません。」彼はすぐに頭を下げて謝り、再び懐中時計に目をやった。「予約したのは一時間だけですし、あまりお時間を取らせたくありません——実は、お別れを言いに来ただけなんです。」 兵士が去った後、カピターノは彼が残していった物を見つめた。赤い花のメダル、携帯用の羽根ペンと酒瓶、修繕されてほぼ新品同然のヘルメット、そしてわざと置いていったのか、忘れていったのか分からない懐中時計…カピターノは、それらが同じ一人の人間の所有物ではなく、偶然ここに集まっただけではないかと疑った。「これらを『隊長』様に預かっていただきたいんです。」、「引き継ぐ人がいれば、その方に渡していただいても構いません。俺たちよりも幸運で、もっと強くなれることを祈っています。」退役を決意した兵士は、そう告げた。 そんな風に思ってはいけない。カピターノは、口にできなかった言葉を脳裏で巡らせた。 生き延びることができた者は、それだけで十分に強いのだから。

聖杯に血涙を

聖杯に血涙を

空の杯

鮮やかな赤い酒瓶。何が入っていたかは、知らないままでいたほうがいい。

物語

一日目の夜、彼は手を組んで冷たい風が吹き抜ける白樺林の中に立っていた。雪が顔に当たるよりも眼鏡に付いてしまうほうが厄介だったので、彼は眼鏡を外してコートのポケットにしまった。 他者が抱くイメージとは異なり、ザンディクは人間というものを熟知していた。 まず、完全な人間は全部で二百六個の骨を持ち、その大多数は頭で物事を考え、驚いたり脅されたりすると普通は恐怖を感じるものである。 次に、説明の過程においては慎重さを期すため、彼はあえて「完全な」、「大多数は」、「普通は」といった限定的な表現を入念に付け加えることで、個別の事例に基づく反論が生じる可能性を避けた。 つまるところ、彼の人間に対する最も深い理解とは、その無限の可能性を知ることにあった。 二日目の夜、彼は弱々しく燃える篝火のそばに座り、数人の村人たちと植物に動物の破片を混ぜた夕食を分け合った。顔中皺だらけの黒髪の女性が薪の山をつついて火の勢いを強くしようと試みた。ザンディクは、そうすることで火を高く燃え上がらせることができる理由を、彼女は知らないはずだと思った。ただ昔から、そのようにすることで望んだ結果を得られたので、そういった経験則が代々受け継がれてきたのだろう、と。 加えて、彼女の実年齢は見た目よりもずっと若いはずだとも思った。他の者たちも同様で、過酷な暮らしというものは老化を早め、心の中も恨み辛みで満たされるからだ。彼らの恨みの対象となっているのは、寒さ、飢え、フェイ、高位のフェイ、そしてフェイの地位に屈した堕落した人間たちだった。ザンディクはこの地の世界に対する認識が極めて遅れていることをあらかじめ聞かされていたため、驚く手間を省くことができた。 病気や死は村人たちの恨みの対象ではないことは、興味深い点だった。生きている間は本能的にもがくものだが、死んでしまえばむしろ他の村人たちの重荷が一つ減るというわけだ。こういう状況なら、普通は急に生きている者が一人増えるのは脅威であり、原住民を恐怖に陥れるものだが、幸いにも人の心理を熟知するザンディクは事前に備えをしていた。先に触れた動物の破片も、彼が持ってきたものだったのだ。 これほど完璧な場所が他にあるだろうか。固い氷と吹雪が外界の干渉を遮断し、まるで殻の中に、さらに殻に包まれた世界があるかのようだ。人の行動はより原始的となり、歴史の歩みも停滞している。 ここにはもっと多くの可能性が生まれるべきだ。もっとも、ザンディクが人間の可能性を語るとき、それは必ずしも褒め言葉ではないが。 外界との接続装置を抜きにすれば、人の脳というものは水槽の中にあっても頭蓋骨の中にあっても、大して変わりはない。適切な信号を再現できさえすれば、それは想定通りの反応を示すのだ。 ドットーレが水槽に実験材料を注いでいると、近くの子供が尋ねた。「その瓶、蝶の模様がついてるの?」 凍える夜にわざわざ外へ出てきて実験を見物するくらいなので、この子供は好奇心が旺盛なのだろう。もっと好奇心があったなら、さらに遠くへ足を延ばしてあの白樺林を抜け、今よりも豊かな人生が送れたかもしれない。 彼の好奇心への褒美として、ドットーレは空になった瓶を放り投げ「これは蝶ではない。四つ目の怪物だ!」と言った。子供はたじろいで後ずさりし、その真っ赤な瓶はポトンと雪の上に落ちた。彼が怖がることは想定の範囲内だったので、ドットーレはすぐに興味を失い、また自分の仕事に戻っていった。 十日目の夜、彼のバッグの中の食料と水は大幅に減り、代わりに増えたのは精神薬の実験に関する詳細な記録の数々だった。その効果は彼の予想通りで、薬物によって誘導される精神制御は双方向的なものだった。活性化と鎮静化にはそれぞれ適した場面があり、犯罪者の尋問であれ心理的な治療であれ、いずれも十分な収益を生み出せるはずだ。 実験の成果は喜ばしいものだったが、それはザンディクとしての個人的な時間がもうすぐ終わってしまうことも意味していた。これからは愚者の城に戻り、ドットーレとしてもう少し人間らしい仕事をこなさなければならない。 「遠いな。」——彼はスネージナヤ・グラードの方角を眺め、惜しむように呟いた。 もし自分の脳に手術を施し、他の人間のように気楽に列車に乗ることができたなら、どれほどよかっただろうか。

信仰に追悼を

信仰に追悼を

理の冠

鮮やかな赤い被り物。この被り物が、誰かを守れた過去がありますように。

物語

パンタローネは彫刻のように劇場の席に座っていた。そして時折人差し指だけを動かし、音楽に合わせてリズムをとる。 今日の演目は名作でもなく、名優が演じるでもなく、階下には空席が目立っていた。それでも彼はやってきて、一人で座っている。公共の場で過ごしていれば健康を害するような真似もしようがないため、彼は主治医からこうした場所での静養を勧められていた。それに、ファデュイ専用のボックス席なら、同僚以外からの襲撃に遭う心配もない。よって、ここは彼にとってほぼ最良の居場所といえた。 舞台の上では俳優たちが愛と寛容を歌い続けているが、心温まる物語はここの観客にはあまり好まれない。スネージナヤの人々がハッピーエンドを好まないというわけではなく、そこに至るまでに登場人物が数々の苦難を乗り越えてこそ、この極寒の地の住人たちは胸の内の鬱屈とした思いを発散することができるのだ。朽ち果てた拘束を解き放ち、苦難の道を歩み、森と氷風を越えていかなければ、温かい世界の頂きを遠くに望む機会すら得られない。 だがまだ終わりではない。温かく見えるその世界も、自分の家ではないのだ。自分に価値がなければ、自分とは無縁の憐れみにすがるしかなく、状況は何も改善されない。しかしそれでも、引き返すことはできない。これが彼の学んだ教訓だ。あの足かせに再び捕らわれてしまえば、鎖はより強固になる。再び抜け出すには、機会が巡ってくるのを待つしかない。たとえそれが、より悪い方向へと自分を追い込むとしても。 あるとき、雑談の中でこの話題に触れたことがあった。従順ならざる異端者に対し、彼の生まれ故郷では暴力と束縛でもって彼らを手懐けようとし、友人の故郷では追放という手段を選んだ。同じような時代遅れの観念であっても、これほど異なる可能性が生まれるのだ。そう語りながら、二人は示し合わせたように笑い出した。まるでお互いの苦難の中に、何らかの喜びを見出したかのように。 喜びは、彼のこれまでの二十年間の人生において極稀に訪れるものであった。たとえば、母親が彼を借金の取り立て人に売り渡したあの日、あるいは高位の貴族たちから大金を巻き上げ、自分にもいつかその列に加わる日が来ると勘違いしたあの瞬間のように。 誤解を招かないよう補足すると、彼は自身の売値や稼いだ大金に満足していたわけではない。潜在意識の中で今後の「値上がり」の可能性を感知していたのだ(ふふっ、一生に二度も売られる人が他にいるのでしょうか?)。あの女性はようやく言うことを聞かない厄介者を手放す機会を得たのかもしれないが、彼もまた野獣さえも寄り付かないあの凍土を離れる機会を掴んだ。そして「養父」の荒んだ生き様から、金を金で増やす術を学んだ。ギャングと結託した貴族たちは、利益という幻を餌に彼を罠へと誘い込んだが、その罠の奥深くは貴族たちをも凌ぐ強大な勢力とつながっていた。 そのような奇妙な転機が訪れたのは、いずれも彼が高天への祈りをやめた後のことであり、それがこの世界の既存のルールへの疑念をさらに深めさせた。神への畏敬を失い、世界の異端者たちと行動を共にするようになった末、彼は神に招集される資格を得たのだ。このような奇譚は観客から馬鹿にされるかもしれないが、幸いなことに彼自身にも語り広める気はない。 演目のフィナーレを飾る歌声とともに、何の前触れもなく扉を開けて入ってくる者がいた。結末を楽しむ瞬間にこんな無粋な真似をする者は、一人しかいない。もし新入りの執行官もこの場にいたなら、罵声が重なって二倍の邪魔をもたらしていただろう。 パンタローネは、新入りの同僚のことを非常に興味深いと感じていた。彼女はここに来るなり様々な手続きに対して不満をぶちまけ、執行官に相応しい反骨精神を見事に体現してみせた。プルチネッラが彼女を利用して冒険者協会の利益に食い込もうとする計画は失敗に終わった。あの娘が、偽善的な政治家の甘言に耳を貸すはずがないのだ。それに加え、彼女の創造物は煩雑な受付業務を一手に担ってくれていた。表向きはあまり喜ぶ様を見せるわけにはいかないが、パンタローネは確かに心から、サンドローネが得るべき利益を譲渡していた。それは公平な取引の原則に則ったものであり、彼も全面的に納得していた。 もとよりパンタローネはこの公演の最中ずっと上の空で、結末にも特に興味を持っていなかった。彼が立ち上がって振り返ると、そこにはスネージナヤ・グラードへ戻ってきたばかりのドットーレがいた。相手の表情から、すべてが順調なことがうかがえた。以前ドットーレが新たな実験の仮説を提案してきた際、彼はその実験に完璧に適合する場所を知っていたのだ。 彼はこれもまた公平な取引の一部であるとし、全面的に納得していた。

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